夫婦の染色体検査は、必ずしも必要ではないと考えています。 その理由は、4つあります。1.異常が見つかっても治療はできないこと。2.異常があっても、すべて流産するのではなく、必然的な流産率は50%前後であること。3.異常がなくても、偶然的な染色体異常による流産率が10~20%あること。4. 検査費用が高いこと。夫婦で保険で約2万円、自費で約5万円。(スクリーニング検査は原則自費となります。)さらに、ご夫婦によっては、夫婦どちらかに原因があった場合、知らなかったほうがよかったと思われるかもしれません。(異常発生頻度は夫婦各3%前後です。) 他方、私は、流産したときこそ、その悲しみのなかで、「なぜその赤ちゃんが流産してしまったのか」 をはっきりさせるため、流産手術のときの、「流産絨毛(胎児組織)の染色体検査」をしてはどうかと、お話しています。(ただし、保険外ですから検査費用は高く、5~8万円です。) その結果として、流産絨毛の染色体の異常があった場合、その異常は構造異常か数的異常かどちらかです。 構造異常ならば、それは必然的な異常であり、ご夫婦どちらかに染色体異常があり、遺伝的必然的な流産であったと判断できます。 このときこそ、発生原因を特定したい場合、ご夫婦の染色体検査をしてもいいのではないかと思っています。 いずれにしろ、赤ちゃんは、もらったわずかな命をまっとうしたということになります。 数的異常ならば(多くは数的異常です)、それは偶然的な異常であり、ご夫婦からの遺伝によるものではありません。偶然的な運命による流産であったのです。 ある意味、神様、仏様が決めた運命ですから、この場合は受け入れるしかありません。 一方、流産絨毛の染色体の異常がなかった場合、それは卵の異常によるものではなく、「子宮内環境の変調による流産」 ですから、次回妊娠前に、原因を見つけて、予防治療すれば、必ず元気な赤ちゃんを抱きしめられます。