私が不育症の研究を始めた約35年前は、「流産は自然淘汰であり、、流産の原因のほとんどは悪い卵のせいですよ。」と、臨床現場では説明されていました。 同じことが、今、体外受精・胚移植の臨床現場で、よく言われています。「移植して育たないのは悪い卵のせいですよ。」 と。 流産の場合、流産内容物の染色体検査ができるようになってから、状況がかわりました。流産内容物の染色体検査が正常だった場合、悪い卵のせいだったとは言えないからです。 その場合は、子宮内環境に原因があると考えられるのです。 体外受精・胚移植の場合でも、初期胚、胚盤胞の段階での染色体検査が(予備的な段階ではありますが、)米国では可能になっており、その結果を考慮すると、3~5回以上の胚移植不成功例では、悪い卵のせいばかりではなく、子宮内環境にも原因がある可能性が高いのです。 子宮内環境の問題は、原因がわかれば治療できるのです。