子宮に血栓が起こりやすい異常
があった場合、
アスピリン治療が基本ですが、
改めて、
いつから?
いつまで?
飲む量は?
注意点は?
について説明します。
(いつから?)
基本はタイミングをとったとき、
また、移植した日からです。
移植前から飲むと、
移植操作中に子宮口から
出血する可能性があり危険です。
(いつまで?)
基本は妊娠28週までです。
(飲む量は?)
検査値と体重により適量が決まりますが、
検査の異常値のレベルが低く、
体重がほぼ平均的な場合、
バイアスピリン100mgを2日に1回1錠
が基本です。
量が多すぎると出血しやすくなり、
また、血管収縮が起こり、
治療効果が弱ってしまいます。
(注意点は?)
アスピリンを飲む目的は、
血栓予防のためですから、
同時に、
水分をこまめに1日1.5リットル以上
飲んでください。
また、妊娠中に
生理の2日目以上の出血があったら、
自分の判断で、即、服用中止してください。
飲み続けると子宮内に血腫ができて、
胎盤が剝がれてしまう危険があります。
服用を中止しても、
アスピリンの効果は1週間ぐらいあります。
流産・死産予防薬としての、子供用アスピリン
(バッファリン81、バイアスピリン100)
の飲み方のポイントをお話しします。
抗リン脂質抗体陽性か、血栓性素因の方には、
子宮内の血栓予防効果により有効ですが、
それ以外の方には効果がないばかりか、
子宮内の血腫の原因となり、かえって危険です。
いつから飲むのかについては、
妊娠の可能性がある排卵日頃からか、
胚移植後が推奨されます。
妊娠中は、10人中1~2人ぐらいの割合で、
茶おり程度の少量の性器出血がありますが、
妊娠中、生理2日目ぐらいの多めの出血があれば、
飲むのを一旦中止することをお勧めしします。
そのまま飲み続けると、血種ができて
胎盤がはがれてしまう可能性があります。
いつまで飲むかについては、
原則、妊娠28週までです。
飲むのを中止するのは心配ですが、
日本の公文書である
医薬品情報としての添付文書(2021年版)では、
出産予定日12週以内の妊婦では、
「禁忌」 に指定されています。
その理由は
妊娠29週以降飲み続けると、
動脈管の早期閉鎖、分娩時出血の増加
につながる恐れがあるからです。
海外での大規模な疫学調査では、
妊娠中のアスピリン服用と、
先天異常児出産の因果関係は否定的だが、
長期連用した場合は、
難産、死産、新生児死亡等の危険が高くなる
恐れを否定できないとの報告です。
不育症と着床障害の治療のなかで、
バイアスピリンとバッファリンが
よく使われています。
同じ少量アスピリンですが、
バイアスピリンはアスピリンが100mg、
バッファリンは81mg含まれています。
両者の違いは、
量だけではなく、
溶ける場所が違います。
バイアスピリンは腸溶錠ですから、
主に腸で溶けますが、
バッファリンは主に胃で溶けますから、
胃に刺激性があります。
両者とも消化管出血、
消化管潰瘍等の副作用があり、
消化管を荒らしやすく、
出血しやすくなります。
子宮内の血栓が原因と疑われた場合、
パイアスピリン(バファリン)治療が
一般的ですが、
副作用として、
妊娠中に性器出血しやすいです。
私の経験では10人中1~2ぐらい
出血しています。
ただ、ほとんどの方は、
茶おり程度の出血で、
全く問題ありませんが、
目安として生理の2日目ぐらいの
多い量の場合は、
いったんパイアスピリンを飲むことを
中止したほうが良いと考えています。
バイアスピリンは中止しても、
血栓予防効果が完全になくなるまで、
約1週間あります。
ましてや、
妊娠中に大きな絨毛膜下血種ができたら、
迷わず、中止です。
飲み続けると、すごく危険です。
バイアスピリン(バファリン)治療は、
絨毛膜下血種を起こしやすいです。