「 妊娠中に インフルエンザワクチン予防接種 を受けた約5千人の妊婦さんは、 受けなかった妊婦さんに比べて、 死産率が約50%低下していた。 」 という研究報告がオーストラリアから2016年3月にありました。(Clin Infect Dis. 62: 1221-1227, 2016) この結果より、1)妊娠中のインフルエンザ予防接種の 安全性が支持されました。2)無毒化したインフルエンザウイルス を妊娠中に接種する(打つ)ことは、 妊娠の維持を助ける効果を持つ ことが示唆されました。 と、結論づけられています。 この研究は大流行時の調査ではなく、平時の調査ですので非常に重要です。 母体から見て、胎児は半分が旦那さん由来の異物ですから、「免疫学的な調和」 により、守られています。 何らかの原因で 「免疫学的な調和」 が乱れると、自己抗体(抗リン脂質抗体)が発生して胎盤内に血栓ができたり、アレルギー的な異物反応に変化して胎児・胎盤系を攻撃したりして、流産・死産を引き起こしているのです。 妊娠中のインフルエンザ予防接種が、弱っている 「免疫学的な調和」 を補正している可能性が考えられます。 当院の 「ピシバニール免疫療法」の理論的背景を裏づけしている論文です。 ピシバニールとは、ストレプトコックス・ピオゲネスSu株をペニシリンと熱処理後に凍結乾燥した病原性のない菌体製剤です。