2010年11月中旬に妊娠36週で元気な赤ちゃんが誕生しました。 出産された方は最初の頃こそ自然妊娠できたものの、途中から体外受精による妊娠となり、そのうえに、記憶があるだけでも過去16回の流産を経験されています。(流産がありすぎて、正確な数はわからず、少なくとも16回との事でした。) 14回目の妊娠前からは私による検査と治療を繰り返してきました。 ご夫婦の染色体検査、子宮奇形のMRI検査、卵巣機能検査、プロラクチン負荷検査、甲状腺機能検査、凝固系検査(第12因子、プロテインCとS活性検査)、抗リン脂質抗体検査(抗CL抗体、抗PE抗体、抗PT抗体、LAC)、はすべて正常でした。 異常検査項目として、NK細胞活性は異常に高く、M-CSFは異常に低く、精神的には不安障害あるいは適応障害を認めていました。 14回目から16回目までは、支持的精神療法、精神薬物療法、ピシバニール免疫療法、さらに、黄体ホルモン補充療法、アスピリン・ヘパリン療法、ステロイド内服療法、ステロイド子宮内洗浄療法を行いましたが残念ながら繰り返し流産されてしまいました。 検査した流産組織の絨毛染色体検査は正常でした。つまり、今までの治療法では流産を予防できないということです。 今回の17回目に行った治療法は、支持的精神療法、精神薬物療法、ピシバニール免疫療法、さらに、バイアグラ膣錠療法です。 今回の妊娠中期からは、東京の不育症研究でも高名な教授に診ていただき、さらなる流産早産予防治療がなされました。 東京での長い入院生活を乗り越えて、まさしく、17回目の奇跡が起こったのだと思います。 ご夫婦のこれまでの苦難とがんばりに赤ちゃんが応えてくれたのではないでしょうか。 生まれることができなかった今までの赤ちゃんの分まで、幸せになってほしいと思います。 本当におめでとうございました。