<青木産婦人科クリニック> 不育症・着床障害・婦人科全般

不育症の検査と治療について

リンパ球輸血療法について

質問:他院で不育症の検査を受けているのですが、染色体とリンパ球輸血に関する検査は受けていません。
染色体検査はもし異常があっても治療法はなく、リンパ球の方は現段階では肯定の意見も否定の意見もあると聞いたので考えています。
ここでは次はリンパ球輸血療法をしましょうと言われています。
先生ならばどのような検査・治療を考えますか。
染色体とリンパ球の検査は必要ですか。

回答:染色体検査はご夫婦それぞれに、必然的(遺伝的)な流産の危険因子があるかどうかを調べるものです。
保険で検査できると思いますが、それでも一人につき約8000円かかります。
おっしゃるように異常が見つかってもその治療法はありません。
ですから、検査する必要がないと考えられるのも一理あります。
私の考えでは、検査すると二つの大きなメリットがあると思います。

一つ目は、精神的なことです。
夫婦お互いに遺伝的な原因がないかどうかは非常に大きな不安要因です。
検査することにより、それがはっきりします。
もし異常があっても、2007年までの臨床研究結果では、それ以外の異常を治療すれば、約60%は1回の妊娠についての成功率が期待できることが報告されています。
検査することにより、その覚悟ができます。また、過剰な不安が解消されます。
このストレスを少しでも減らすことが、不育症の精神的な治療になるからです。

また二つ目は、たとえ理想的な治療をしてもその成功率は約80%であり、約20%弱は偶然的な胎児の染色体異常が発生して運命的な流産となります。
仮に、流産した場合、流産胎児の染色体検査を行えば、ご夫婦がすでに染色体正常とわかっているならば、その胎児に染色体異常が判明した時点で、その胎児は運命的な流産、つまり、ご夫婦からもらった命の時間は全うしたことがはっきりします。
反対に胎児の染色体が正常だったならば、治療法が不完全であったための流産、つまり、救えたあかちゃんであった可能性が高いということもはっきりします。

リンパ球輸血療法については、おっしゃるように、2007年時点では、賛否両論の状態です。
米国では、はっきりとした有効性がいまだ確定していないので、標準治療法としては否定的見解です。
たぶんその副作用、たとえばエイズ等の感染リスクも考慮された結果と思います。
また弱い点として、その大きな位置づけが、いまだに原因不明な不育症患者さんへの治療法とされている点です。
2007年時点では、夫婦間のリンパ球混合培養検査の異常は不育症の危険因子(原因)ではなく、リンパ球輸血療法の効果判定にのみ有効かもしてないということが信頼度の高い欧米の医学雑誌に多く報告されています。
私は、1995年にNK細胞活性が拒絶免疫異常の指標になることを、ランセットという臨床医学雑誌では世界的トップクラスの専門誌に発表しています。
そこでその研究データに基づき、NK細胞活性をその指標の中心として検査し、異常高値な患者さんに対しては、独自の方法でピシバニール免疫療法を行っております。

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